7月26日、日曜日。西谷の(株)エビスシマダに、10組の親子が集まりました。
「―西谷で見つける!― わがまちのお宝プロジェクト」の第2回。(第一回プログラムの様子はこちらから。)
今回のテーマは「福」。150年近く西谷で縁起物をつくり続けてきた工房を訪ね、実際に自分の手で「福俵(ふくだわら)」をつくる一日です。
工房を埋め尽くす、福の顔
朝10時、集合。
まず見学したのは、縁起物がつくられる工房です。
大小さまざまな焼き物のお面がびっしりと並んでいます。
お多福の笑顔、恵比寿・大黒の福々しい表情。60cmを超える大型のものまで、すべて職人の手仕事です。
「すくう道具」が、産業になった
工房見学の中で、五代目社長の島田康治(しまだ こうじ)さんが語ってくれたのは、縁起物誕生の物語でした。
「箕(み)」とは、穀物をすくい、風で選別するための昔ながらの農具。西谷の里山には、その箕をつくる文化が古くから根づいていました。
「すくう」という道具の力に、恵比寿さま・大黒さまの福を重ね合わせ、「福をすくう」縁起物として仕立てたのが、エビスシマダの始まりだったといいます。
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明治10年(1877年)の創業から、およそ150年。
今では西宮神社の「十日えびす」をはじめ、全国の寺社に年間10万個以上を出荷する縁起物の造り手へと育ちました。石膏型での成形、素焼き、絵付けまで、その全工程を職人が手がけています。
工房の中では、宝船の縁起物を仕上げるスタッフの姿も。一つひとつ、手作業で丁寧に飾りつけられていく様子に、参加者はしばし見入っていました。
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世界に一つだけの福俵をつくる
工房見学のあとは、壁一面の縁起物に見守られながら、展示スペースに移動していよいよ制作タイム。
今回つくるのは「福俵(ふくだわら)」。島田社長自らが手順を説明し、エビスシマダのスタッフ4名と一緒に、3組ずつのグループで福俵を作っていきます。
テーブルの上には、装飾用のパーツがずらり。まさにバイキング形式で、好きなものを好きなだけ選べる贅沢さです。


ボンドで貼りつけたり、紐を通したり。細かな作業には保護者の手も少し借りながら、小さな子どもたちも夢中で手を動かしていきます。
1組につき1つ、自分たちだけの福俵を仕上げていく約30分。出来上がった福俵は、想像以上に華やかで豪華な仕上がりに。そのまま、お土産として持ち帰らせてもらいました。
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「初めて知った」から広がる、地域への興味
完成した福俵を手に記念撮影をして、アンケートに答え、11時半過ぎに解散。
アンケートでは、工房見学・体験会ともにほとんどの回答者が「とても満足」。「またこの工房に来たいか」という問いにも、大半の方が「とても参加したい」と答えてくれました。
「えびすさんや大黒さんが西谷で作られているということ自体知りませんでした。貴重な工房も見学させて頂き、社長さんからのお話も聞かせて頂くことができて、とても勉強になりました」(保護者)
「バイキングシステムで選び放題で楽しくて最高でした。刺した時にプスッていう感じが初めてで、また来年もやりたいです」(お子さま)
「工場見学はよく行きますが、縁起物の工場は初めて! 私(親)も楽しかったです。運がよくなった気がした!」(保護者)
「えびす神社の縁起物がまさかこんな家内制手工業で作られているとは思ってみなかったので、大変驚いた。末永くこの地で頑張って欲しいと思います。ありがとうございました!!」(保護者)
そんな声が、多く寄せられました。
プロジェクトを企画した宝塚市北部振興企画課の岡本さんは、こう振り返ります。
「西谷のことを知らない方はもちろん、ある程度知っている方にも、さらに深く関わりたいと思ってもらえるきっかけをつくりたい」
その思いのとおり、参加者の多くは、自然の家やダリア園などを通じてすでに西谷を知る人たち。
今回、縁起物という新たな「お宝」に出会ったことで、地域への興味がまた一つ深まりました。
地域外から西谷を盛り上げる協力者の存在は、地域にとって何よりの心強さです。
お宝プロジェクトは、残すところあと3回。次回は、薪集めから炭をおこす「炭団づくり」に挑戦する予定です。

西谷の里山で生まれた「すくう」道具が、
誰かの福をすくう縁起物になる。
今日また一つ、西谷のお宝が見つかった。