イベント情報 , 取材記事

手をかけた分だけ、返してくれる。〜宝塚市立長谷牡丹園、25周年の春〜

春の風が、山の斜面をゆるやかに吹き渡る。

宝塚市北部・西谷の山懐に抱かれた「宝塚市立長谷牡丹園」が、今年で開園25周年を迎えた。

枝いっぱいにふくらんだ蕾を見つめながら、長谷牡丹園の指定管理を担うNPO法人西谷仕事人代表・龍見昭廣さんは静かにこう言った。

「松江市大根島の技術指導者の皆さんの意見をきちんと聞いて、やった結果がこういう状況だね」

その言葉に、5年分の試行錯誤と、25年分の花への敬意が、静かに滲んでいた。

宝塚市立長谷牡丹園の全景。手入れされた園路と周囲の山並み

 

 

平成13年。長谷地区の人々が守り育てた庭

長谷牡丹園が産声を上げたのは平成13年のこと。

宝塚市北部・長谷地区の人々が自らの手で植え、草を引き、少しずつ育ててきた。園内の斜面にも株が広がり、牡丹・芍薬・オオデマリなど季節ごとに花開く、西谷ならではの贅沢な庭になった。

都会の喧騒から切り離された山里の空気。ここにしかない静けさが、この庭をより特別なものにしている。

 

 

「こういう仕事、したこともない」——経験ゼロからの5年間

指定管理を引き受けたとき、龍見さんに花づくりの経験はほぼなかった。

「はっきり言って、こういう仕事、したこともない。そんな経験なしでやってたんです」

龍見さんをはじめ西谷仕事人の方々が動いた。牡丹の産地として知られる島根・松江のJA八束支店へ学びに出向き、専門家の言葉にひたすら耳を傾けた。

そこで得た答えのひとつが「マルチを外す」というシンプルな一手だった。

土の表面をおおっていたマルチシートを取り除いたことで、それまで窮屈そうだった芽が、のびのびと天へ向かい始めた。株が充実し、葉のツヤが増し、蕾の数がぐんと増えた。

草取り、肥料管理、消毒、水やり、来る日も来る日もみんなでお花のお世話をし続けた。

「手を抜けば抜くほど、花は小さくなる。手をかけた分だけ、ちゃんと返してくれる」

この春の蕾が、その言葉の証明だ。

蕾をつけた牡丹の株。ピンク色の大きな蕾がいくつも膨らんでいる

 

 

島根から届いた、希少な里帰りの牡丹

長谷牡丹園には、島根県松江市との深い縁がある。

宝塚と松江は姉妹都市として長く交流を重ね、松江で生まれた牡丹が「里帰り」する形でこの庭へ届けられてきた。

令和6年9月には、宝塚市大使の松浦嘉昭氏と「JAしまねくにびき地区本部」から新たな牡丹が寄贈された。その品種は、明治時代に本市で作成された牡丹品種カタログにも名を連ねる、現在ではなかなか目にできない貴重な種だという。

「ずっと交流が続いています」と語る龍見さんの言葉に、この庭が地域を超えて人々とつながってきた歴史の厚みを感じた。

宝塚市大使・松浦嘉昭様とJAまねくにひき地区本部から牡丹が寄贈されたことを示すプレート

 

 

今年のGWは長谷牡丹園へ!25周年を彩る特別な体験

25周年を迎える今年は、いつも以上に見どころが詰まっている。

◆ ガーデンコンサート「風そよぐ牡丹、響く旋律」

5月3日(日)・4日(月祝)の2日間、花咲く庭に音楽が鳴り響く野外コンサートを開催!

オカリナ・バイオリン・サックス・ブラスアンサンブルと、西谷ゆかりのアーティストたちが次々とステージへ。4日(月祝)には西谷中学校吹奏楽部がBrass Crewと息の合ったコラボ演奏を披露する、特別ステージも楽しめます。

「ぼたんカフェ」も同時オープン。生演奏を耳に、満開の牡丹を目に——五感で春を味わう、とびきり贅沢な午後が待っています。

入場料は大人300円・小中学生100円。

 

 

◆ 竹灯籠ライトアップ

5月9日(土)夜は、手作りの竹灯籠が幻想的な明かりで園内を染めるライトアップへ。昼とはひと味違う、夜の牡丹園を体験できます。

◆ 寶菓匠 菅屋「金覆輪」— 25周年記念 特別販売

寶菓匠 菅屋の「金覆輪(きんぷくりん)」を、25周年記念として牡丹園内で特別販売。お茶セットもご用意しており、優雅なひとときを園内でお楽しみいただけます。

牡丹をモチーフにした25周年記念スイーツ「きんぷくりん」

 

 


開催概要

宝塚市立長谷牡丹園
所在地:宝塚市長谷字門畑29
TEL:0797-91-1616
営業時間:9時〜17時(入園は16:30まで)
指定管理:NPO法人 西谷仕事人

牡丹・芍薬の見頃は4月下旬〜5月上旬。

25年の歴史と、5年の汗と、
地域みんなの思いが詰まった花が、
今年も西谷で、あなたを待っています。


関連リンク

関連記事