取材記事

食卓から紡ぐ豊かな未来 〜「からだがよろこぶ おそうざい そらまめ」の里山食堂〜

空気が澄み、緑豊かな宝塚市西谷地区。
静かに佇む「喫茶山里」では、毎月第3土曜日に特別な食の体験が広がっています。
そこでは、ピアニストから転身した料理人・西山百合子さんの「からだがよろこぶ おそうざい そらまめ」のもと、訪れる人たちの心と体が満たされる里山食堂が開かれています。

音楽から食へ、人を喜ばせる新たな道

「ピアノを弾くのは大好きだけど、食事を分け合った時の方が喜びが大きいです」

西山さんは元々ピアニストとして活動していました。
しかし出産を機に、新たな社会貢献の形を模索し始めました。
幼い頃から料理が好きだった西山さんは、逆瀬川の自宅で「からだがよろこぶ おそうざい そらまめ」というテイクアウト惣菜店をオープン。

「子どもたちが生まれ、両親が早くに病気で亡くなったこともあり、食と健康について真剣に考えるようになりました」と語る西山さん。

農薬や化学物質が人体に与える影響を調べ、自然と共存する暮らしへと少しずつシフトしていったといいます。

里山食堂が生まれたきっかけ

西山さんが西谷で食堂を始めたのには、深い思いがありました。

「子どもたちの給食を有機的な方向にしたいと思ったんです。それならまずは少しでも多くの人に美味しい食事を楽しんでもらって、オーガニックに触れるきっかけを作れたらと思っています」

西谷の新規就農された農家さんや無農薬野菜を扱う生産者とのつながりを大切にしながら、2024年1月から里山食堂を開始。
来月の2025年6月には記念すべき10回目の開催を迎え、回を重ねるごとに地域に根付いた、多くの人が心待ちにする食の場所となっています。

里山食堂ならではの魅力

里山食堂では、西山さんのテイクアウト惣菜店「そらまめ」とはまた違った楽しみ方があります。

「お店では持ち帰りが基本なんですが、里山食堂では、みなさんと一緒にその場で食事を楽しめるのが特徴です。揚げたての天ぷらなど、作りたてを味わえる料理もありますよ」

事前に丁寧に仕込んだおかずも多く、西谷で育てられた季節の野菜を使った料理の数々は、どれも西山さんの温もりが感じられます。地域の高齢者から家族連れまで、食卓を囲んで交流が生まれる空間。それは単なる食事の場ではなく、食を通じた地域のつながりを紡ぐ貴重な時間です。

「現代社会で希薄になりつつある、地域の人々の温かい繋がりや、全てを包み込んでくれる懐かしい里山の風景が西谷にはあります。市街地の私を家族のように受け入れてくれる、西谷の土地も人々も大好き。西谷の魅力を周りの方々に伝え、微力でも、南部と西谷の架け橋になれたらと思っています。」と、西谷への思いも語られました。

日本人の魂に触れる体験を

「ご飯って心も体も作る大事な要素。体にも地球にも良いものであれば、もっといい」

西山さんは日本人の食文化の原点を大切にしています。

「日本人ならではのお米、発酵調味料やお味噌、お醤油といったものの大事さ。日本人の魂だと思っているから、食べてもらって『日本人でよかった』と思ってもらえたらうれしい」

里山食堂で味わうのは、単なる食事ではありません。
先人から受け継がれてきた日本の食文化と、未来につなぐ持続可能な農の可能性。
そして何より、西山さんの温かな人柄が染み込んだ、心と体が喜ぶ本物の味わい。

毎月第3土曜日、
そんな特別な体験を
ぜひあなたも
西谷の里山食堂でお楽しみください。

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