「お父さんがヘッドスライディングしてました」
宝塚自然の家の目の前に広がる田んぼで、今年から始まった「100人お米作りプロジェクト」の第一回「泥んこ遊び」で、思わず笑顔がこぼれる光景が繰り広げられていました。
企画したのは、里山ラボの小紫祐さん。
「泥んこ遊びでお父さんがゴーグルをつけてヘッドスライディングしていました」と振り返る小紫さんの言葉からは、参加者の熱量が伝わってきます。
このプロジェクトには100人を超える多くの応募があり、抽選で100人が選ばれました。
西谷の田んぼでどんな体験ができるのでしょうか。

休耕田から始まった小さな挑戦
物語は昨年から始まっています。
小紫さんたちは、地元の方から田んぼを借り受け、20人規模の小さなお米作りからスタートしました。
「収穫もうまくいき、今年は横の大きい田んぼも貸してもらえることになったんです」
地域の方々の協力と信頼を得て、今年は規模を大幅に拡大。
「100人お米作りプロジェクト~休耕田から広がる100人の挑戦~」として、本格的な農業体験プログラムが始動しました。


年間5回、季節とともに育む体験
このプロジェクトの魅力は、一年を通じて農業の全工程を体験できることです。
第1回:泥んこ遊び
田植え前の田んぼで、子どもも大人も思いっきり泥まみれに。
第2回:田植え体験
手作業で一株ずつ丁寧に植えていく昔ながらの農法を体験。
第3回:かかし作り
家族で一体のかかしを作成。竹の骨組みに古着を着せ、個性豊かなかかしが田んぼを彩ります。
第4回:稲刈り
手作業で稲を刈り、稲木に掛けて天日干し。
第5回:脱穀体験
昔の農機具を使った脱穀体験で、米作りの大変さを実感。
提供される体験ではなく、「一緒に作る」仲間として
「参加者のみなさんと一緒に体験を作っていくという関係を大切にしています」
小紫さんが大切にしているのは、参加者との関係性です。
用意されたプログラムを消費するのではなく、みんなで一緒にお米を育てる仲間として参加してもらいたいという思いが込められています。
「子どもたちが田植えをせずに遊び回っていても全然構いません。きれいに植えられなくても、それはそれでいいんです」
完璧を求めず、それぞれの楽しみ方を尊重する、みんなで楽しい体験を作っていくという思いで、イベントを運営されています。



世代を超えた絆が生まれる場所
「一人っ子の男の子が、小さい女の子に優しい一面を見せることもあります。普段は見せない姿でした」
100人という規模だからこそ生まれる化学反応があります。
同学年だけでなく、年齢を超えた子どもたちの交流。
そして、子どもを通じて親同士もつながっていく。
まさに田舎ならではの温かいコミュニティが自然と形成されていきます。
企画者が想像もしなかった場面で、参加者同士の協力が生まれ、それが最も印象に残る体験になる。
これこそが、西谷の田んぼで起きている特別な体験の正体です。
2年連続で参加する家族もおられ、今後は「今度は友達も一緒に」と仲間を誘って参加していただけるような、体験を通じて生まれた絆が新たな参加者を呼び、輪がどんどん広がっていくかもしれません。



西谷で待っている、あなたの家族の新しい物語
お米作りプロジェクトは、西谷で体験できる魅力的な活動の一つです。
里山ラボの農業体験はサツマイモ作りから始まりましたが、農業体験に限らず西谷の豊かな自然を活かした様々な体験プログラムが展開されています。
「他の家族と一緒に何かに取り組む機会は、現代では珍しくなっています」
現代社会では珍しくなった、家族ぐるみの地域での体験。
西谷では、そんな貴重な時間を過ごすことができます。
自然の家の目の前に広がる田んぼで、泥にまみれながら、季節の移ろいを感じながら、新しい仲間と出会いながら。
きっとあなたの家族にも、楽しい物語が待っています。

最後に小紫さんの願いを込めて
「何よりも怪我なく、せっかくなのでちゃんと収穫まで成功させたいですね」
安全第一で、みんなで育てたお米を最後まで大切に育てたい。
そんな温かい思いに包まれた西谷で、あなたも「100人の挑戦」の一員になりませんか。
そして、100人で育てたお米の収穫を祝う特別なイベントも予定されています。
11月9日に開催される「ごはんフェス」では、みんなで育てた新米を味わうことができます。
田んぼでの体験から始まり、最後は美味しいお米として実を結ぶ。
そんな一年を通じた物語の完結編にも、ぜひ足を運んでみてください。
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