恥ずかしさで顔から火が出そうなひかるを、住民たちは温かい笑顔で迎えてくれた。
「いやいや、推理力はなかなかのものでしたよ」と田辺さんが慰めるように言う。
「でも、どうして山田さんのお誕生日に?」ひかるは首をかしげた。
佐藤さんが振り返ると、少し離れたところで杖をついた小柄な女性が、チューリップを見つめて微笑んでいる。
「山田のおばあちゃんはね、もう八十五歳なんです。若い頃からずっと、この西谷でお花を育てることが生きがいでした」
健太が説明してくれる。山田おばあちゃんは足腰が弱くなり、大好きなガーデニングができなくなってしまった。そこで住民たちが密かに計画を立てたのだという。
「みんなでチューリップ畑を作って、プレゼントしようって」
「それで孫の太郎君が、おばあちゃんが大切に育てていた球根を掘り起こして、畑に移植してくれたんです」田辺さんが付け加えた。
なるほど、だから球根が「消えた」のか。ひかるは納得した。
その時、山田おばあちゃんがゆっくりと歩いてきた。
「ひかるちゃん、ありがとうね。あんたが一生懸命調べてくれてるって聞いて、申し訳なくて」
「いえいえ、とんでもありません!」ひかるは慌てて頭を下げる。
「でも困ったことになったのよ」おばあちゃんの表情が曇った。「太郎が風邪で寝込んじゃって、明日の準備ができないの」
住民たちの顔にも不安が浮かんだ。誕生日まであと一日。果たして間に合うのだろうか。
ひかるの心に、ある決意が芽生えた。
