チューリップ探偵団 〜西谷に舞い散る謎と笑顔〜 #5-7

あれから三週間。山田おばあちゃんの誕生日がやってきた。

「うわあ…」

畑を見た瞬間、ひかるは息を呑んだ。イノシシに荒らされたはずの場所に、色とりどりのチューリップが風に揺れている。赤、黄色、ピンク、白。まるで虹が地面に降りてきたみたいだった。

「すごいでしょう?」

健太が得意げに胸を張る。

「イノシシが掘り起こした球根、みんなで植え直したんです。バラバラになっちゃったけど、かえってランダムで綺麗になって」

「まさに怪我の功名やな」

田辺さんが笑いながら準備したテーブルにお重を並べる。西谷の山々を背景に、手作りのお祝い会の始まりだった。

「みなさん、ありがとう…」

山田おばあちゃんが涙ぐんでいると、突然がさがさと音がした。

「あっ!」

現れたのは、例のイノシシ親子。ひかるが青ざめた瞬間、おばあちゃんがくすりと笑った。

「あら、あなたたちもお祝いに来てくれたのね」

「お、おばあちゃん…」

「この子たちも西谷の住民よ。一緒にお誕生日会しましょう」

おばあちゃんがサツマイモを差し出すと、イノシシたちはおとなしく離れた場所で食べ始めた。なんとも不思議な光景に、みんなで笑い合う。

桜が舞い散る西谷の空の下、ひかるは思った。推理小説の完璧な解決とは違うけれど、これはこれで素敵な結末だ。

手帳に書き込む。「チューリップ探偵団事件簿・第一話『完』。次の謎を待つ」