蛍博士のドタバタ大作戦 〜西谷の夏、光る虫と踊る日々〜 #7-3

翌朝、光男は長靴と軍手で完全武装して川辺に立っていた。

「カワニナ、カワニナはどこだ」

石をひっくり返したり、川底を手探りしたり。まるで宝探しのように夢中になっていると、後ろから声がかかった。

「おじさん、何してるん?」

振り返ると、ランドセルを背負った小学生が三人、興味深そうにのぞき込んでいた。

「えーと、カワニナという貝を探してるんだ」

「かわにな?」

「蛍の幼虫の重要な栄養源でね、殻長は通常五ミリから二センチで」

「わからん!」

子どもたちは大爆笑。

「あ、えーと。蛍の赤ちゃんの好物なんだ」

「へー。一緒に探したる!」

いつの間にか、カワニナ大捜索隊が結成されていた。

子どもたちの手は魔法のようだった。光男が一時間かけて見つけられなかった場所から、次々とカワニナを発見していく。

「あった!」

「こっちにもおる!」

川面に笑い声が響いて、光男の心も軽やかになった。

「先生、これ違う?」

手のひらに乗せられた小さな巻貝を見た瞬間、光男の目が輝いた。

「これだ、これがカワニナだ!」

予想以上にたくさん見つかって、川の環境が改善している証拠だった。

「蛍さん、帰ってこれるかな」

「きっと帰ってくるよ」

西谷の青空の下、小さな希望が静かに芽生えていた。