翌朝、光男は長靴と軍手で完全武装して川辺に立っていた。
「カワニナ、カワニナはどこだ」
石をひっくり返したり、川底を手探りしたり。まるで宝探しのように夢中になっていると、後ろから声がかかった。
「おじさん、何してるん?」
振り返ると、ランドセルを背負った小学生が三人、興味深そうにのぞき込んでいた。
「えーと、カワニナという貝を探してるんだ」
「かわにな?」
「蛍の幼虫の重要な栄養源でね、殻長は通常五ミリから二センチで」
「わからん!」
子どもたちは大爆笑。
「あ、えーと。蛍の赤ちゃんの好物なんだ」
「へー。一緒に探したる!」
いつの間にか、カワニナ大捜索隊が結成されていた。
子どもたちの手は魔法のようだった。光男が一時間かけて見つけられなかった場所から、次々とカワニナを発見していく。
「あった!」
「こっちにもおる!」
川面に笑い声が響いて、光男の心も軽やかになった。
「先生、これ違う?」
手のひらに乗せられた小さな巻貝を見た瞬間、光男の目が輝いた。
「これだ、これがカワニナだ!」
予想以上にたくさん見つかって、川の環境が改善している証拠だった。
「蛍さん、帰ってこれるかな」
「きっと帰ってくるよ」
西谷の青空の下、小さな希望が静かに芽生えていた。
