5月には、まだ土の色がむき出しだった畑。
それがいま、緑でいっぱいになっています。
「西谷 de 農のある暮らしプロジェクト」が立ちあがったのが、今年の春。
数年使われていなかった一枚の畑を借り受けて、草を刈り、埋もれたマルチを剥がすところから始まりました。
あれから、およそ4か月。
さつまいも、里芋、大豆、落花生。畑には作物が植わり、夏にはひまわりも咲きました。
この夏、畑がどんなふうに変わっていったのか。
そして今回は、冨田さんと二人で相談しながら畑を進めてくださっている西山さんに、畑のことを少し聞かせてもらいました。
写真と、ある日のおしゃべりから、その様子をお届けします。
この夏の畑の様子
作業のたびに撮ってもらった写真を、日付を追って並べました。
畑がどんなふうに変わっていったのか、のぞいてみてください。
土をつくり、苗を植える ― 5月・6月
土づくりのはじまりは、ひまわりでした。
種をまいて、育てて、花が終わったら刈り倒して緑肥として土に還す。
肥料をまくだけではなく、この畑で育ったものを、この畑の土に戻していく。そんな進め方です。
耕した土に鍬を入れていたら、大きなミミズが出てきました。
数年ほうっておかれた土の中でも、生き物はちゃんと待っていてくれたようです。
軍手の上にのった大きなミミズ。土に生き物が戻ってきた
この日は、さつまいもと里芋の定植。
鍬で土を寄せて畝を立てて、一本ずつ苗を寝かせて植えていきます。
まっすぐな畝が並ぶと、ようやく「畑」らしい顔になってきました。
春先には、枯草と葦しか見えなかった場所です。
鍬で土を寄せて畝を立てる作業
大豆は、ポットから ― 7月
大豆は、畑に直まきせず、ポットで育てます。
育苗トレイを広げて、蚊取り線香を焚きながら、一粒ずつ土に押し込んでいきます。
地味な作業ですが、その数日後には、トレイいっぱいに芽が立ち上がりました。
刈り倒した草が並ぶ畑の畝
同じころ、畑では緑肥刈りが進んでいました。
背丈ほどに伸びた草を刈り払って、刈った草はそのまま畝に敷く。
刈っては敷き、刈っては敷き。この夏の作業は、その繰り返しでした。
緑肥を刈り倒した直後の畑
ひまわりが咲いた
5月の終わりにまいた種が、7月の終わりに一斉に花をつけました。
水やりはしていません。
それでも畑いっぱいに咲いてくれました。
西谷は朝晩の寒暖差があって、夏でも早朝には朝露がびっしり降ります。
長靴がびちゃびちゃになるほどの露が、雨の少ない日々の作物を支えてくれていたのかもしれません。
ほころびはじめたひまわりのつぼみ
刈った草を、畝に敷く ― 7月末・8月
この日は、育てた大豆の苗と、落花生を定植。
植えた畝には、刈った草をたっぷり敷き詰めます。
土の乾燥を防いで、草を抑えて、やがて分解されて土になる。
同じ日、6月に植えた里芋とさつまいもは、もう葉を大きく広げていました。
夕暮れの光の中で、畝の輪郭がやわらかく浮かび上がります。
刈り草を敷いた畝に植えつけた苗
落花生に、黄色い花が咲きました。
落花生は、花が咲いたあとに子房柄が地面に潜り込んで、土の中で実をつけます。
この小さな黄色が、収穫までの合図です。
じつは落花生、はじめの計画には入っていませんでした。
「芽が出てきたから持っていくわ」と、一緒に活動をしている冨田さんからお声をもらい、植えてみました。
黄色い花を咲かせた落花生
そして8月末、いまの畑
さつまいものつるは畝を覆って、里芋は大きな葉を広げています。
大豆と落花生も、刈り草の間から青々と茂りはじめました。
土づくりの途中で、試行錯誤の一年目。
それでも、ここまで来ました。
刈り草の間から葉を伸ばす里芋
畑を支えるふたり
この畑に足を運んでくれているのは、西山さんと、前回の記事で紹介した冨田さんのお二人です。
西山さんは、オーガニックな食材を使ったお惣菜店「そらまめ」の店主。
冨田さんをこのプロジェクトにつないでくれたのも、西山さんでした。
西山さんは7月・8月、週に2回ほど畑に通っているそうです。
冨田さんも、同じくらい、あるいはそれ以上に畑に入ってくださっています。
土づくりの方針も、何をどこに植えるかも、作業の段取りも、お二人で話し合いながら、分担して進めています。
この夏の畑は、そのやりとりの積み重ねでできあがってきました。
今回はそのうちのお一人、西山さんに、どんな思いで畑に関わっておられるのかを聞いてみました。
「食べるものを自分の手で作る」の原点
西山さんは、ご両親を早くに亡くされています。
いろいろ調べて、やっぱり自然な生活がいいなって」
そこから少しずつ暮らしを変えていって、その延長線上で開いたのが「そらまめ」でした。
お店をやって、子どもが生まれて、給食の活動にも関わられました。
ただ消費するだけじゃなくて、生み出すっていうのができるだけでも、不安も減るし、地域にも、広く言えば地球にも貢献できる」
届かなかった言葉と、鍬を持つ理由
農薬を使わない野菜を、学校給食に取り入れてもらえないか。
西山さんは、そのための活動を長く続けてきました。
でも、なかなかうまくいかなかったそうです。
専業農家さんには、毎日の暮らしがかかっています。
その方たちに一方的にお願いすることの難しさを、西山さんは何度も味わってきました。
だから、やり方を変えました。
月に1回、西谷で里山カフェのお手伝いをしながら、少しずつ農業に近づいていく。
そんなふうに、距離の縮め方を変えていきました。
その根っこにあるのは、こんな思いです。
自分もちゃんと体を動かしてやってみんことには、何も物言えないなって」
里山カフェのお手伝いも、この畑も。
西山さんにとっては、どちらも「実際に体を動かして、農業に触れてみる」ことの延長線上にあります。
西山さんがこの畑に立っている理由は、たぶんそこにいちばん近いのだと思います。
2年ぶりの畑、そして西谷へ
じつは西山さん、2年ほど前まで三田市で貸農園を借りていました。
仲間5人ほどで通っていたそうですが、みんな大阪や神戸から集まっていたので負担が大きく、契約更新のタイミングで一度解散しました。
今回ちょうどいい場所で、手頃な大きさの畑をっていう話があったから、やりたいなと思って」
ただ、あのころとは、ずいぶん違うことがあります。
土ももう出来上がってるから、別に何もやることがない。ただ植えるだけ」
いまの畑には、水道もありません。土も、これからつくっていくところです。
なんかね、楽しいんです」
汗をかくのが、こんなに気持ちいい
畑仕事の話になると、西山さんの言葉は一段と速くなります。
ほんまに、サウナが流行る理由が分かったぐらい楽しいんです」
夏の一日は、こんなふうに始まるのだそうです。
ひと汗かいて帰ってきて、シャワー浴びて、塩むすび食べるっていうのが最高にいいですよね」
原点回帰というか、やっぱりこっちやな、と西山さんは笑います。
これからの畑
さつまいもと里芋の収穫は、10月ごろの見込みです。
大豆は、枝豆として早採りするなら10月、黒豆まで待つなら11月ごろ。
そのあとは、冬野菜。
冨田さんが長く続けている「保田ぼかし」という堆肥づくりを教わりながら、大根に挑戦する予定です。
土づくりも、作付けも、まだ手探りの一年目。
それでも、収穫が楽しみです。
西山さんは、楽しみそうに、そして謙虚に、こうお話しされていました。
畑に関わってみたい方へ
前回の記事を読んでご連絡をくださった方もいらっしゃいました。
まだ詳細は決まっていませんが、みなさんと一緒に畑活ができるように、これから計画を考えていきます。
興味のある方は、ぜひご連絡ください。
FacebookやEnjoy西谷のサイトからどうぞ。
「今どうなってるかな」と気にかけてもらえるだけでも、励みになります。




















































