蛍博士のドタバタ大作戦 〜西谷の夏、光る虫と踊る日々〜 #7-4

翌日、光男が川辺で水質を測定していると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「光男くん、おつかれさま」

振り返ると、近所のおばあちゃんたちがぞろぞろと現れた。手には洗剤のボトルやら、米びつやら、色んなものを持っている。

「おばあちゃんたちも蛍の研究に?」

「研究なんて大層なもんやないわ。昨日の話聞いてたら、要するに川をきれいにしたらええんやろ?」

おばあちゃんの一言に、光男は目を丸くした。

「え、あ、はい。その通りです」

「なら話は早い。みんな、合成洗剤やめて石鹸に替える。米のとぎ汁も川に流さん」

「おお、それは環境改善に効果的な」

「小難しい話はええから、実行あるのみや」

おばあちゃんたちの行動力は光男の想像を遥かに超えていた。翌週には西谷の各家庭で「川きれい作戦」が始まっていた。

光男が川辺を歩いていると、また新しい光景が目に飛び込んできた。おばあちゃんたちが川沿いの草刈りまで始めている。

「これも蛍のためやで」

汗をかきながら笑うおばあちゃんの顔が、夕日に照らされて輝いて見えた。

一週間後、川の水は確実に透明度を増していた。光男は測定器を握りしめながら、小さくガッツポーズをした。

「おばあちゃん軍団、恐るべし」

西谷の夕暮れに、希望という名の光が静かに宿り始めていた。